睡眠時無呼吸症候群

    睡眠時無呼吸症候群

    睡眠時無呼吸症候群とは、眠っている間に無意識に呼吸が止まる病気です。Sleep Apnea Syndromeの頭文字をとって、「SAS(サス)」とも言われます。

    10秒以上、気道の空気の流れが止まった状態を「無呼吸」と言いますが、 この無呼吸が7時間睡眠中に30回以上、または睡眠1時間あたり5回以上あれば、睡眠時無呼吸症候群と診断されます。

    私たちはなかなか寝ている間の無呼吸に気付かず、検査・治療を受けていない多くの潜在患者がいると推計されています。

     

    日本の潜在患者数は300万人以上ともいわれます

    睡眠時無呼吸症候群

    実は、寝ている間に生じるこの無呼吸が、起きているときの活動に様々な影響があります。

    例えば、睡眠時無呼吸症候群の患者さんは様々な全身疾患のリスクが高くなると言われています。

    特に糖尿病、高血圧、心臓病(心疾患)、脳卒中などは 大きく関係していると研究結果があります。

     

    睡眠時無呼吸症候群と全身疾患との関係

    SASと糖尿病について

    SASの重症度が増すに連れ、糖尿病の合併割合が高くなります。

    SASを合併していると糖尿病の発症リスクが1.62倍になることが報告されています。(Am J Respir Crit Catr Med 2005;172:1590-1595)

     

    SASと高血圧について

    米国で一般住民を対象に行われた研究により、SASと高血圧には明らかな関連が示されました。

    4年後に高血圧を発症するリスクを調査した結果、SASによる発症リスクは、健常人の約1.4~2.9倍になるという研究結果でした。(Hypertension 2001:19:2271-2277)

    また高血圧の患者で、降圧剤などの薬の効果がでない状態を「治療抵抗性高血圧」と言います。 この治療抵抗性高血圧と睡眠時無呼吸症候群(SAS)が高率で合併することが明らかになっています。

     

    SASと心疾患

    心房細動の発症頻度がSASを合併していない場合とSAS合併の場合と、2倍以上もリスクが高いことが報告されています。(J Am Coll Cardio 2007;49:565-571)

    別の研究では、重症SASの場合、SASではない人に比べて夜間の心房細動の発生頻度が4倍以上高かったと報告されています。(Am J Respir Crit Care Med 2006;173:910-916)

     

    SASと脳卒中

    脳の血管が狭窄して詰まる脳梗塞、血管が破れて出血したりする脳出血は、後遺症として麻痺や言語障害が生じやすいとされています。

    睡眠時無呼吸症候群(SAS)重症例では脳卒中・脳梗塞発症リスクが3.3倍になることが報告されています。

     

    睡眠時無呼吸症候群の検査について

    簡易検査

    自宅でも取扱い可能な検査機器を使って、普段と同じように寝ている間にできる検査です。

    手の指にセンサーをつけ、睡眠時無呼吸症候群(SAS)の可能性があるかを調べます。

    多くの場合はまずこの簡易検査から行ないます。 当院では検査機器を有料でお貸出ししています。

    検査機器の貸し出しについて

    簡易的な検査機器を1~2晩お貸しします。(検査機械をお貸しする費用10,000円+税)

    自宅でこの装置を付けて眠っていただきます。さらに詳しく別診断する場合は提携医療機関にて入院検査をご紹介することがあります。

     

    精密検査

    簡易検査よりも詳しく、睡眠時の呼吸の状態を調べる検査です。終夜睡眠ポリグラフ(PSG)検査と呼ばれます。

    専門の医療機関に入院して行う検査です。

    体に多くのセンサーをつけますが、痛みはありません。いつも通りに寝ている間に検査は終了します。

    仕事などへの支障が少ないよう、仕事終りの夜に入院して検査をし、翌朝出勤前に退院できるよう配慮されている医療機関も多くあるようです。

    PSG検査の結果は、医師や専門の臨床検査技師などがそれぞれのデータを見て最終的に判定します。事前に、時間、持ち物、費用等はご確認ください。

     

    睡眠時無呼吸症候群の治療について

    睡眠時無呼吸症候群と診断されれば、治療に入ります。

    治療内容は、歯科では、マウスピースを装着して頂くことにより治療しますが、特に重症な方は提携医療機関にてCPAP(空気を送り込む機械)を使用し治療します。

    モノコック型スリープスプリント【保険適応】

    睡眠時無呼吸症候群

    医師の診断をお持ちの方は保険適応のマウスピース(モノコック型)は作製可能です。


    長所
    ・健康保険適応のためコストが安い
    ・下顎の固定が確実である

    短所
    ・細かい調整ができない
    ・調整は歯科医師しかできない
    ・使用時の不快感が大きい
    ・装着時 開口はできない

     

    ソムノデント MAS 150,000円+税

    睡眠時無呼吸症候群

    患者さん個々の歯列にあわせてカスタムメイドされた装置です。

    上下歯列にフィットするプレート部分とその形状で特許を取得した独自のウィング部分で構成され、装着時の顎位の動きを規制しながらも、患者さんが自由に口をあけるこことができるように設計されています。

    上顎臼歯部には顎位置を微調整するためのスクリューが装備され、装着後の調整も簡単におこなうことができます。


    長所
    ・容易に細かい調整が可能
    ・顎が動かせ開口も可能なため、使用感が優れている

    短所
    ・健康保険適応外なため 高価

     

    SLP(サブリンガルプレート)

    睡眠時無呼吸症候群

    SLP(サブリンガルプレート)とは、日本歯科大学名誉教授の丸茂義二先生が考案された、歯ぎしりや食いしばり・睡眠時無呼吸症候群などを効果的にコントロールするための装置です。

    SLPはマウスピース型ではなく舌の下に入れて使用するタイプの装置ですので、睡眠時だけではなく、日中も装着したままで過ごすことができます。

    睡眠時無呼吸症候群の大きな原因として、睡眠時に顎や舌が後退しすることで気道(咽頭腔)が狭くなり、呼吸が困難になってしまうということが挙げられますが、SLPを入れることで舌が上へ持ち上がり、前方へ出ると同時に下顎もわずかに前方へ移動しますので、結果、気道を確保することができるのです。

    また、舌の位置を正しい位置に修正することにより、食いしばりや歯ぎしりを減弱できる効果が期待できるほか、体の重心バランスが変わることで姿勢が改善されたり、唾液の分泌を促進することで虫歯リスクの軽減、ドライマウス防止に繋がる効果も期待できます。


    長所
    ・SASの他、食いしばりや歯ぎしりの防止にも有効
    ・一時的な対処療法ではなく、本来の舌の位置を学習することで半永久的に効果を維持することができる。
    ・口呼吸から鼻呼吸への改善がされやすく、免疫力が増す

    短所
    ・健康保険適応外なため 高価

     

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